同時進行→真美「亜美が悪い」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 20:58:14.82 ID:lNWypBrr0
亜美は悪くないもん。 

ケンカになったのは何でだったっけ。
たしか、真美だけはるるんのお菓子を食べてズルいとかそんな感じだったと思う。

いつもなら、ケンカをしても次の日の朝にはいつも通りなんだけどさ。
今朝は遠くで竜宮小町のお仕事だから真美が起きる前にりっちゃんの車で亜美はお仕事に行っちゃって仲直りが出来なかったんだ。
だから、ちょっとモヤモヤする。




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:00:02.87 ID:lNWypBrr0
家をが出る前に一言くらい言えばよかったかな「行ってきます」って。
だけどまだ、仲直りしたくないって思ってるかもしれないし。
亜美と話なんてしたくないかもしれないし。

「――に着いたわよ」

あれれ? りっちゃん何か言ってた。
ヤバい聞いてなかったYO!

「ねえ、りっちゃん。もっかい言って」

「だ、か、ら! 現場に着いたわよ! ほら、しっかりしなさい。2人とももう降りたわよ」

「は→い! 行ってきま→す!」

車を降りて、ドアを閉めようとすると兄ちゃんのちょっとだけ心配そうな顔が見えた。

「何かあるなら私に相談してもいいのよ」

「うん、わかった」

よ→し! 行っくぞ→!!




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:03:26.60 ID:lNWypBrr0
――――――――――

撮影が終わって帰りの車。りっちゃんは運転してるけど、ちょっとマズイかも。

「それじゃあ、反省会を始めます」

うげえ、やっぱり。今日はNG出しちゃったから怒られそうだな。

「まずは私からいくつか言います。伊織、あなたは今日、いくつかの場面で笑顔が引きつってたわ」

「し、仕方ないでしょ。虫が寄ってきてたのよ」

「それくらい我慢しなさい」

「……分かったわ」

「次にあずささん、リアクションをするまでに時間がかかりすぎです。衛星中継じゃないんですから」

「ごめんなさいねえ、何が起きているのかちょっと分からなかったんです。次から気をつけます」




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:09:01.57 ID:lNWypBrr0
「はい、お願いします。そして、亜美」

「へゃい!?」

うわ、変な声が出ちゃった。
何言われるんだろ、りっちゃんこわいなあ。

「ぼおっとしすぎ、心ここにあらずって感じだったわ」

「え? そうだったかな」

そんな風に思わなかったけどな。

「撮影中は別のことを考えてないで、集中しなくちゃ駄目よ」

「はーい。ごめんなさい」

何か考えてたっけな。あんまり覚えてないかも。
でも、たしかにNG出してたしね……。
どうしてぼおっとしてたんだろ?




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:15:01.80 ID:lNWypBrr0
「それじゃあ、伊織から何かあるかしら」

「そうねえ、私自身についてはイレギュラーに弱いみたいね。予定が狂うとちょっと焦ってしまうわ」

「まあ、それは2人のフォローがあればいいと思うわ」

「私も出来る限りフォローは頑張るから、安心してもらえると嬉しいわ」

何だったっけなあ、何か考えてたような気もするんだけど。

「……ありがと。それで、あずさは逆にちょっと落ち着きすぎだと思うの」

「そうかしら? ごめんなさいね」

「いえ、一概に悪いってことじゃないんだけど、もう少し焦らないと視聴者的にはわざとらしく見えちゃうと思うの。意識して焦るってのも変な話だけど」

「う~ん、頑張ってみます」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:21:01.14 ID:lNWypBrr0
「亜美は……、今日のあんたは誰? って感じね」

昨日のことだったっけ? 昨日の……

「――ちょっと! 亜美聞いてる?」

うん? いおりん、何か言ってた?

「いおりん、真美に何か言った?」

「もう! どうしちゃったのよ! 撮影中も上の空だったし」

「ごめんごめん、ちょっと疲れてるんかな」

「朝、早かったものねえ。律子さん、早朝から車の運転で疲れてませんか?」

「いえ、私は撮影中に少し休ませてもらいましたから」




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:27:02.52 ID:lNWypBrr0
「そんなこと言って、ずっと見ていたじゃないですか?」

「うっ、でも大丈夫ですから。眠くもないし、疲れもないので、事故とか絶対起こしませんよ!」

「そうじゃないんですけど……。私も免許取った方がいいのかしら?」

「と、取らなくて大丈夫です! 私がいれば平気ですから!」

「そうかしら……」

あずさお姉ちゃんが車を運転したら……考えたくないかも。
迷子になった時に迎えに行けなくなりそうだよ。

「とにかく、体調管理もアイドルの仕事よ。亜美も気をつけなさい」

「は~い」




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:33:03.30 ID:lNWypBrr0
「次は私かしら。そうねえ、私は2人に言われてたけれどいろいろゆっくり過ぎたのかしら」

「まあ、それもあずささんらしいって言えばそうなんですが。危ないこともあるのでそこら辺は、お願いしますね」

「はい、それと伊織ちゃんはちょっといろいろと考えすぎなんだと思うのよ」

「考え……すぎ?」

「全部を計算する必要ってないと思うの。そうすると、計算が違ったときに止まっちゃうでしょ。だから、考えるのは大切だけど考えすぎないようにした方がいいと思うのよ」

「そう……かしらね。わかったわ。流れに身を任せるのも時にはいいって言うしね」

「真美ちゃんはね」

「なに~?」




19 :>>10 ×そして、真美 ○そして、亜美 2012/11/28(水) 21:39:53.58 ID:lNWypBrr0
「昨日、真美ちゃんとケンカしたでしょ?」

えっ!? どうして知ってるんだろ。亜美、言ったっけ?

「当たりみたいね~。それで、悩んでたんでしょ?」

うう、言われてみればそうかもしれない。
昨日から仲直りしてないんだもん。

「どうしてケンカしちゃったのか、私に話してくれないかしら?」

「あのね、昨日なんだけど……」




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:45:00.91 ID:lNWypBrr0
それから途切れ途切れだけど話してみた。
3人はたまにうんうんとうなずきながらも静かに聞いてくれた。

だけど、話せば話すほど、くだらない事でケンカしてたなあと思えてきて。
どうしてケンカになっちゃったんだろ。

「――って事なんだ。だから、真美は仲直り出来なくって……」

「亜美ちゃんと真美ちゃんはそれでまだ仲直り出来てないのね」

うんうんうなって悩んでるみたいだけど、大丈夫だよね。
だって、タイミングが悪かっただけでちゃんと会えば元通りだと思うもん。




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:51:03.35 ID:lNWypBrr0
「ごめんなさい、あずさお姉ちゃん。でも、なんだかスッキリしたYO! 帰って、真美と会えばすぐ仲直り出来そう!」

「う~ん、それじゃあダメだと思うのよ」

ダメ? どうして? だって、亜美と真美はいつも一緒だもん。ダメじゃないでしょ。

「なんでそんな事言うのさ!」

あずさお姉ちゃんは悪くないんだけど、つい強く言っちゃった。
だって、そんな風に言うんだもん。亜美よりも真美の事、知らないのに!




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 21:57:04.22 ID:lNWypBrr0
「ケンカになったのはそれだけが理由じゃないでしょ? 亜美ちゃんが何かあるのじゃないかしら」

亜美が何かある?

「亜美ちゃんは真美ちゃんに言いたいけど言ってないことがあるんでしょ?」

世界で1番近くって、1番仲が良くって、1番お互いを知ってる人に言ってないことと。
真美に言ってないことなんて……

「大丈夫よ、ここにいる4人は竜宮小町の仲間。話してみなさいよ」




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:03:03.36 ID:lNWypBrr0
「そんなの……ないよ」

「嘘つくんだったら、もっと上手にしなさい。顔の見えない私でも嘘だって分かるわ。それに、自分に嘘をついてもむなしいだけよ」

自分に嘘をついてるのかな。じゃあ、何に嘘をついてるんだろ?

「わかんないけど……たまに、真美がいいなって思うんだ」

「ええ、そうなのね」




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:09:04.28 ID:lNWypBrr0
亜美と真美はいっつも一緒だった。運動するのも、勉強するのも、遊ぶのも。

同じことをして、同じように笑って、泣いて、悲しんでた。

亜美と真美は同じだと思ってたんだ。




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:15:00.87 ID:lNWypBrr0
だけど、亜美が竜宮小町に入ってから忙しくなった。

テレビに出れるのも、CDを出せるのも嬉しいんだけど……。

真美と一緒にいられないのが……さみしい。

ずっと、ずっと一緒にいたのに、最近はあんまり話してないな。

「そう、亜美ちゃんはさみしかったのね」




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:21:02.89 ID:lNWypBrr0
目がぐしゅぐしゅしてきた。
そっか、亜美はさみしかったんだ。

「大丈夫よ、真美ちゃん。ほら」

あずさお姉ちゃんがぎゅってしてくれた。

あったかいな……。




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:27:00.29 ID:lNWypBrr0
「あずさお姉ちゃんも、りっちゃんも、いおりんも大好きだけどね、大好きなんだけどね……」

「ええ、嬉しいわ」

「だけどね、真美はもっともっと……」

「大切なのね」

「そうなの、亜美にとって真美はもっと違くって」

大切な……お姉ちゃんなんだ。
世界でたった1人のお姉ちゃん。

だから、会えないのがさみしくて、それを真美のせいにして……。

「私も……大切な家族に会えないのはさみしいと思うわ」

頭をなでなでしてくれる。くすぐったいよいおりん。
だけど、涙がとまんない。




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:33:01.16 ID:lNWypBrr0
「事務所に戻ったら、仲直りすればいいでしょ。それで、元通りなんだから」

「真美は許してくれるかな?」

「あらあら、亜美ちゃんは真美ちゃんを信じられないの?」

「そ、そんなわけないじゃん!」

真美と仲直りできないわけないもん!

だって、たった1人のお姉ちゃんだもん!

「ほら、大丈夫なんじゃない。ちゃんと真美を信じてあげなさい」

「そう、だよね」

「当然じゃない!」

そうだよね、亜美と真美だもん。
真美を信じれば……いいんだもんね。




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:39:05.14 ID:lNWypBrr0
「ほら、もう涙を拭いて、シャンとしなさい。そろそろ、事務所に着くわよ」

「う、うん」

目のぐしゅぐしゅはもう、とまってた。

「あっ、ごめんあずさお姉ちゃん、服ぬらしちゃった……」

「ふふふ、大丈夫よ、事務所に着替えがあったと思うわ。それより、目が真っ赤だからウエットティッシュあげるから拭いてあげる」

「じ、自分で出来るよ~」

亜美と真美だもん。
ダメなわけないっしょ→。

あずさお姉ちゃんも、りっちゃんも、いおりんもありがとう。



終わり




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:42:44.85 ID:lNWypBrr0
真美を書いたんだから、亜美もと思って書きました。

代行してくれた ID:Uu7y32j+0 さん、本当にありがとうございました。




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:43:05.92 ID:eOkHy5Bl0




37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 22:55:31.04 ID:sXu9OBBN0