1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:15:24.43 ID:2KFdLTuS0
--事務所--

P「ただいま戻りました」

やよい「おかえりなさい、プロデューサー!」

P「ああ、ただいまー」ガサガサ

やよい「その袋はどうしたんですか?」

P「帰りにコンビニでジュース買ってきたんだ。冷蔵庫に冷やしておくから飲んでいいぞ」

やよい「うっうー!ありがとうございまーす」




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:17:27.35 ID:2KFdLTuS0
亜美「あ、兄ちゃんおかえりー。亜美たちが頼んだの買ってきてくれた?」

P「ああ、これで良かったか?」

真美「それそれ!ありがと兄ちゃん」

やよい「二人とも、プロデューサーに何をお願いしたの?」

亜美「んふふ~、ボルヴィックだよ」

やよい「……プロデューサー、ぼるヴぃっくって何ですか?」

P「ミネラルウォーターのことだ」

やよい「ミネラルウォーター……はわっ、もしかしてお水を買ったんですか?」

P「あれ、何か問題あったか?」

やよい「お水なら蛇口から出るじゃないですか!うー、ちょっともったいないかも」

P「あはは、やよいはそう感じるかもな……さて、来週のスケジュール確認するか」




3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:21:40.16 ID:2KFdLTuS0
真美「……聞いたかね、亜美隊員」

亜美「どうやら、やよいっちはミネラルウォーターの奥深さを理解してないようですな……」

真美「これは、教育が必要ですな……」

やよい「どうしたの? ……なんか怖いよ、二人とも」

真美「やよいっち、真美たちのボルヴィック飲んでいいよ」

やよい「え? いいよ、まだ喉乾いてないから」

亜美「いいから飲むんだ!!」

やよい「……じゃあ一口だけもらうね」

やよい(事務所のお水でいいのに……)ゴクリ

やよい「……!?」




4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:24:28.26 ID:2KFdLTuS0
真美「どうどう? やよいっち、初めてのミネラルウォーターの感想は?」

亜美「大地の味がするっしょ?」

やよい「こ……これは」

亜美「これは?」

やよい「これは、『水』です!」

真美「……ねぇ、やよいっち。ミネラルウォーター飲んだ感想で『これは、水です!』はないよー」

亜美「……うん。アイドルなんだから、もっと気のきいたコメントが欲しいよねー」

やよい「……」




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:28:39.81 ID:2KFdLTuS0
貴音「フフフ、亜美、真美。あなたたちはまだまだのようですね」

亜美「うわっ、お姫ちん! びっくりさせないでよ~」

真美「真美たちの背後をとるとは、おぬしやりおるな……」

貴音「おや、驚かせてしまいましたか?」

亜美「寿命が縮まっちゃうよ!」

貴音「なんと! 他人の生命力を奪う術は、とうに失ったはずですが……」

亜美「え?」

真美「それよりも、真美たちがまだまだってどゆこと?」

亜美「そ、そうだよ! 大地の味がする、は流行語大賞だと思うよ?」

貴音「いえ。二人とも、やよいの発言の真意が理解できていないようなので」




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:33:59.37 ID:2KFdLTuS0
亜美真美「「真意?」」

やよい「……」

貴音「そうです。やよいがぼるヴぃっくを口にした時の衝撃。それは、ヘレン・ケラー嬢が、
    サリバン氏の助けによって、水という存在を理解した時のような感動だったのでしょう」

亜美真美「……」ポカーン

真美「……つまり、どゆこと?」

貴音「あまりの衝撃ゆえ、彼女はぼるヴぃっくを、その本質である『水』と肯定すること。
   それより他に讃えることができなかったのです」

真美「うーん……よくわかんないけど、お姫ちんから聞くと謎の説得力があるよね」

亜美「やよいっちは、水という存在を心で理解したんだね」




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:39:20.16 ID:2KFdLTuS0
やよい「……うーん」

亜美「さっきからずっと黙ってると思ってたけど」

真美「何か考えてるみたいだね」

やよい「……わ、わかりました!」

貴音「やよいがぼるヴぃっくを表現しようとしています」

亜美真美「「 表現? 」」

やよい「このお水は、







     とっても優しい味がします!」ゴクゴク




12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:45:25.25 ID:2KFdLTuS0
真美「な、なんだ。ちゃんとコメントできるじゃん」

亜美「やよいっちがなんて言うのか、ちょっとドキドキしちゃったよ」

真美「お姫ちんも、表現だなんて大袈裟なことを…」

やよい「……このお水は、お父さんからのあふれる愛情」

亜美真美「え?」

やよい「ここは夜の公園。お父さんに怒られて泣いている女の子がいます」

亜美「これは?」

真美「いったい?」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 11:53:44.11 ID:2KFdLTuS0
やよい「いつまでも泣きやまない女の子におろおろしているお父さん。
     それでも覚悟を決めて、女の子をぎゅ~って抱きしめてあげます」

やよい「お父さんの厳しさと優しさ。そして家族のぬくもりを感じます。
     そう、この『ぼるヴぃっく』には」ドヤァ

亜美真美「……」ポカーン

真美「う、うわ~!やよいっちがおかしくなっちゃったよーう……」

亜美「どういうことなの……」

貴音「これが表現するということなのです」

真美「……真美たちにはさっぱりだよ」

亜美「わかりやすいようで……いや、圧倒的にわかりにくいよ」




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:00:13.85 ID:2KFdLTuS0
貴音「そうですか……時に二人とも。硬水と軟水の違いはわかりますか?」

真美「真美わかるよ!ボルヴィックは軟水だよね」

亜美「軟水は飲みやすいよね。でも硬水は亜美苦手」

真美「真美も。飲んだ後は、うへーってなるよね」

貴音「なるほど。硬度が高い水には独特のえぐみがありますね。私たちが普段口にする飲料水が、
   ほとんど軟水であることも飲みづらさの一因でしょうか」

亜美「硬水と軟水、どうして差がついたのか……」

真美「慢心、環境の違い……」

貴音「環境の違いは間違っていませんね」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:09:21.31 ID:2KFdLTuS0
亜美「優しさっていうのが、軟水だからってことは、なんとなくわかるけどさ」

真美「お父さんとかは意味分かんないっぽいよ」

貴音「それは、ぼるヴぃっくを採っている場所によるものでしょう。どこの国か知っていますか?」

真美「ボルヴィックって日本のお水じゃないの?」

亜美「当たり前っしょ。日本のお水だったら、お姫ちんが『ぼるヴぃっく』なんて言うはずないじゃん」

貴音「ぼるヴぃっくの採水地は、フランスのオーヴェルニュ地方に広がる火山国立公園にあります」

亜美「えっ、ボルヴィック以外は普通に喋れるの!?」




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:17:56.44 ID:2KFdLTuS0
貴音「今からおよそ3500万年前に、火山帯『ピュイ連山』での大きな火山活動により、
   非常に珍しい6つの火山層からなる天然フィルターが生まれました。
   ろ過性の高いこのフィルターを長い歳月をかけてゆっくり通過する事で、
   自然の奇跡が生み出したおいしい軟水『ぼるヴぃっく』が生まれたのです」ドヤァ

亜美「すごいよお姫ちん!まるで公式サイトの説明文だよ」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:20:36.75 ID:T+iaRvUZi
なんだボルヴィックの回しもんか



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:22:08.96 ID:2KFdLTuS0
音「やよいは、そのたぐいまれな想像力から、採水地の環境を感じ取り、
   水を生み出した火山を父性として感じ取ったのでしょう」

貴音「表現としては、まだまだ未熟ですが」

亜美「くっ、高槻やよい……」

真美「恐ろしい子……」

亜美「でも、表現に出てきた女の子は、絶対やよいっちのことだよねー」

真美「まだまだ甘えたい年頃なんでしょうな」

やよい「……」ゴクゴク




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:27:00.56 ID:2KFdLTuS0
美「それにしても……」ジー

亜美「……」ゴクリ

真美「……亜美?」

亜美「ねえ、真美。のど乾かない?」

真美「そういえば……やよいっちの持ってるボルヴィックがすごく飲みたい気分」

亜美真美「「……」」ジー

やよい「!?」ゴフッ




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:27:33.35 ID:2KFdLTuS0
亜美「それにしても……」ジー

亜美「……」ゴクリ

真美「……亜美?」

亜美「ねえ、真美。のど乾かない?」

真美「そういえば……やよいっちの持ってるボルヴィックがすごく飲みたい気分」

亜美真美「「……」」ジー

やよい「!?」ゴフッ




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:30:44.06 ID:2KFdLTuS0
やよい「ごほっごほっ……なんで二人ともこっち見てるの?」

亜美「やよいっち!!」ガシッ

やよい「はわっ!」

真美「ボルヴィックをやると言ったな……あれは嘘だ」

やよい「え?」

亜美「そういうわけで、返してもらうね」バッ

やよい「そ、そんな!」




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:35:56.34 ID:2KFdLTuS0
亜美「ふっふっふ。ボルヴィックは我が手中に!」

真美「そうだ! 亜美、今からレッスン行こうよ!」

亜美「うん! レッスン後に飲むボルヴィックは激うま確定だよ!」

真美「間違いないね! じゃあ、いってきまーす」

亜美「わっ、ちょっと待ってよ真美ー!」

バタン

やよい「……」ポカーン

やよい「うー、私のぼるヴぃっく……」




25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:45:13.31 ID:2KFdLTuS0
やよい「……」ズーン

P「あ~疲れた」

やよい「……」ズーンズーン

P「……やよい、大丈夫か? 元気ないぞ」

やよい「ぷろでゅーさー、ぼるヴぃっく……」

P「ん? なんだ、のどが乾いたのか。ちょっと待ってろ」

やよい (……もしかして、冷蔵庫にまだあるのかな?)




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:51:55.10 ID:2KFdLTuS0
P「ほら、やよい。ジュース冷えてたぞ」ゴトッ

やよい「……はぁ」

P「あれ、どうした? これ、うまいぞ。俺のお気に入りで…」

やよい「プロデューサーは気が利かないかなーって」ゴクゴク

P「えー……」

おわり





引用元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353896124/l50