1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:48:50.82 ID:7yDTSuO60
※モバマスの龍崎薫ちゃんが出ます

薫「せんせぇ、さよならー」

P「はい、さよなら。また明日ね。お菓子食べすぎちゃ駄目だよ」

薫「はーい!じゃーねー!」

P「はい、それじゃあね」

伊織「……アンタ、小学校の先生にでも転職したの?」

P「へっ?……い、伊織……か?」

伊織「久しぶりね」

P「……ああ、久しぶりだな」

……




3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:49:33.32 ID:7yDTSuO60
―喫茶店―

P「3年ぶり……くらいか?」

伊織「そうね。アンタ、年賀状くらいしか出さないんですもの」

P「いやー、ははは……」

店員「ご注文お決まりでしょうかー?」

P「アイスコーヒーで」

伊織「……私も、同じものを」

店員「かしこまりましたー」




4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:51:18.99 ID:7yDTSuO60
P「……オレンジジュースじゃないのか」

伊織「……そういえば、そうだったわね」

P「心境の変化ってやつか」

伊織「そうね」

P「……」

伊織「……」

P「旦那さんはどうよ?」




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:52:27.92 ID:7yDTSuO60
伊織「どうって?」

P「仲良くやってんのかな、と思って」

伊織「……ええ、ごく普通に夫婦やってるわ」

P「……そりゃ良かった」

伊織「……」

P「家事とかやってるのか?」

伊織「ごく普通に夫婦やってるって言ってるじゃない」

P「マジか……。信じられんな……」




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:53:16.51 ID:7yDTSuO60
伊織「それより、アンタどうなのよ?小学生受け持ってるの?」

P「あ、まあ、今のところな」

伊織「……」

P「おいおい、何だその表情……」

伊織「オカシイと思ってたのよね。あずさや小鳥や律子に全く反応しないんですもの」

P「何だかよくわからないが、今伊織は俺のことを誤解していると思う」

伊織「担当アイドルって自分で選べるんでしょ?」

P「…………ウチの方針だからな…………」




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:55:10.94 ID:7yDTSuO60
伊織「……私も、待つんじゃなくて、もっと早くから……」

P「おいおい……」

伊織「もう私おばさんだから、全然駄目ね……」

P「何言ってるんだ。俺からすりゃまだ若いって感じだぞ?」

伊織「……別に無理して持ち上げなくていいのよ?」

P「……別に持ち上げてるわけじゃないんだ」

伊織「今日だってお化粧してないし」

伊織「髪だってぼさぼさだし」

伊織「服だって地味だし……」




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:56:53.92 ID:7yDTSuO60
P「……」

P「伊織……今日はどうしたんだ?」

伊織「アンタの顔が突然見たくなったのよ。本当よ?」

P「伊織……ちょっと痩せたか……?」

伊織「……」

P「別に答えたくないなら答えなくていいからな?」

P「何かあったのか?」

伊織「……」

P(伊織、今、幸せなのか……?)




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:58:59.40 ID:7yDTSuO60
―外―

伊織「……今日は楽しかったわ、久しぶりに話もできて」

P「ああ……」

P「たまには事務所に遊びに来いよ」

伊織「ええ」

伊織「それじゃ……きゃっ!」

P「お、おい伊織!」

伊織「痛っ!!」

P「す、すまん。強く掴み過ぎたな……」

P「!!」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:01:07.10 ID:7yDTSuO60
伊織「……っ!!こ、これは……」

伊織「ち、違うのよ……」

P「伊織……、俺はまだお前のプロデューサーのつもりなんだ」

P「話してくれ」

伊織「う……うう……」

P「お、おい、な、泣くなよ」




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:01:56.09 ID:7yDTSuO60
P「そうか……旦那さんがな……」

P「ドメスティック・バイオレンスってやつか……」

伊織「……わ、私が悪いのよ……!」

伊織「……何をやってもう上手くできないし……」

伊織「……だから……」

P「伊織……」




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:03:12.84 ID:7yDTSuO60
伊織「私……お料理も下手くそだし……」

伊織「見た目が悪いものしか作れないから……」

伊織「だからあの人、いつも怒って……」

伊織「テーブルの上メチャクチャにして……」

伊織「もう……家にも帰ってこなくなっちゃって……」

伊織「たまに帰ってきてもいつも機嫌悪くて、怒ってばかりで……」

伊織「でも……私が……しっかりしてないから……」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:03:41.61 ID:7yDTSuO60
P「伊織!!」

伊織「な、何?」

P「明日から、ウチの仕事手伝ってくれ」

伊織「で、でも……」

P「頼む!」

伊織「……うん……」




19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:06:10.63 ID:7yDTSuO60
―次の日―

伊織「お、おはようございまーす……」

薫「あー!昨日のおねえちゃんだー!」

P「こらこら、薫ちゃん。しっかり御挨拶は?」

薫「はーい。おはようございまー!!!」

伊織「お、おはようございます」

P「今日からよろしくな」

伊織「ええ……」




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:07:38.79 ID:7yDTSuO60
P「今事務員不足でなー」

伊織「そうなの?」

社長「そうなんだよ」

伊織「あら、社長……えっと、お久しぶり」

社長「まあそんなにかしこまらないで」

伊織「ええ」




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:08:48.32 ID:7yDTSuO60
律子「あらっ、来たわね?伊織」

伊織「律子?」

律子「話は聞いてるわ。みっちり仕込んであげるからね」

伊織「ちょっと、何よこれ?」

P「あはは、律子は今、プロデューサー兼事務のリーダーでな」

伊織「ちょっと帰りたくなってきたわ……」




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:10:42.31 ID:7yDTSuO60
律子「こっちの書類は……」

伊織「これはどうやって……」

P「ふむふむ、真面目にやってるな」

薫「せんせぇ、そろそろお仕事じゃないの?」

P「し、しまった……」

薫「せんせぇ、なんかそわそわしてる」

P「ああ、伊織と仕事するのは久しぶりだからね」

薫「ふーん……?」




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:12:37.54 ID:7yDTSuO60
―3年前―

P「すまん……」

伊織「……謝らないで」

伊織「……私、もう待たないわ」

P「……」

伊織「はい、これ」

P「これは……?お、おい、伊織……」




25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:15:06.95 ID:7yDTSuO60
伊織「うさちゃん、あんたにあげるわ」

P「しかし……」

伊織「これで、今までの私とはお別れね」

伊織「大事にしなさいよ?」

P「あ、ああ……」


P(その後しばらくして、水瀬グループのCMに出てた若手俳優と伊織の結婚が発表された)


――――

――





26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:16:35.65 ID:7yDTSuO60
―夕方―

P「……」

伊織「ちょっと……」

P「……」

伊織「返事しなさいよ!」

P「うお!!」

P「な、なんだ、伊織か」

伊織「今日の仕事終わったから、挨拶に来たのよ」




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:18:12.60 ID:7yDTSuO60
P「おう、お疲れ?どうだった?事務仕事は?」

伊織「思ったより大変ね。小鳥はいつも一人でこんなことしてたのね」

P「そうだろうな」

律子「お疲れ様ですー。伊織、結構筋が良いわね。期待できるわ」

伊織「事務作業に筋とかあるわけ?」

律子「そりゃ、あるわよ。伊織は結構気が付くタイプだから」

伊織「そんなこと……」

P「これからもよろしく頼むよ」




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:20:26.04 ID:7yDTSuO60
―数週間後―

スタッフA「どうしよう……」

伊織「あら?どうしたの?」

スタッフA「それがその……手違いがあったみたいで……

  薫ちゃんの仕事が長引く仕事だったので、プロデューサーさんが

  別の打ち合わせに行ったみたいなんですが……」

伊織「あ、それって……私も連絡受けてた……」

伊織「え?でも薫ちゃんの仕事って、確か夕方まで……」

スタッフA「それが、もう終わってしまったみたいで……」




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:21:04.23 ID:7yDTSuO60
伊織「場所は○×テレビね……。私迎えに行くわ」

スタッフA「ええ?でも、ここからだと1時間以上……」

伊織「近道があるのよ。40分で着くわ。

  あなたはプロデューサーと連絡を取って頂戴」

スタッフA「はい!」


伊織「これをやるのも久しぶりね」

伊織「乗換駅まで自転車でぶっとばすのが近道」

伊織「ランクが低いころは時々やったわね……あいつと……」

伊織「さて、待ってて、薫ちゃん!」




30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:23:02.29 ID:7yDTSuO60
―しばらく後 ○×テレビ―


P「はぁはぁ……ようやく着いたか……」

薫「せんせぇ!おそいよ~!」

P「ご、ごめんよ……」

薫「でも、急いで来てくれたみたいだしゆるしてあげる!」

伊織「やっと着いたのね?」

P「伊織……」




31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:25:05.94 ID:7yDTSuO60
伊織「全くもうっ!何やってるのよ!」

P「面目ない」

薫「伊織ちゃんが来てくれたから、ちっともさびしくなかったよ!」

伊織「そ、そう?」

P「じゃあ、俺ちょっと挨拶に……」

伊織「ディレクターには挨拶しといたから、手短にしなさいよ」

P「おう……何から何まで……流石伊織だな」

薫「そうそう、せんせぇ、たよりないんだから」

P「面目ない」

伊織「……ふふっ……」




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:27:03.76 ID:7yDTSuO60
―帰り―

P「挨拶してきたよ。じゃあ帰ろうか」

薫「うん!」

伊織「あ、そういえば」

P「?」

伊織「あんた、自転車回収してきて」




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:28:17.88 ID:7yDTSuO60
P「自転車ってまさか……」

伊織「近道、使ったのよ。もうへとへとよ」

P「……」

伊織「昔よりお腹出てるし、ちょうどいい運動じゃない」

薫「せんせぇ、おなかぷにぷにー」

P「……自転車で帰ります」




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:30:10.13 ID:7yDTSuO60
―事務所―

律子「聞きましたよ」

P「ああ、伊織のおかげで助かった」

律子「……」

P「どうした?」

律子「いえ。伊織、最初に比べてだいぶ笑顔が増えてきましたね」




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:31:15.53 ID:7yDTSuO60
P「ああ。自信を失ってたみたいだから……

 今の伊織に必要なのは何よりも自信だ」

律子「そうですね……」

社長「お疲れ様ー。あれ?伊織君は?」

律子「あ、もう帰りましたよ」




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:32:55.32 ID:7yDTSuO60
―数日後―

薫「あれー?伊織ちゃん何してるの?」

伊織「あっ……、その、お茶をいれようかなって」

薫「へー」

伊織「うん」

薫「せんせぇなら、さっき席にもどってきてたよ?」




37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:34:23.02 ID:7yDTSuO60
伊織「な、なんであいつが出てくるのよ」

薫「あれ?せんせぇにお茶いれるんじゃないの?」

伊織「べ、別に誰にだっていいじゃない」

薫「ふーん」

薫「あ、そっちのお茶の方がたかい奴だよ」




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:35:53.58 ID:7yDTSuO60
P「疲れた……」

伊織「あらそう。はいお茶」

P「……」

伊織「何よ?」

P「伊織がお茶を入れてくれたという事実に感動してるんだよ」

伊織「大げさね……。飲まないなら持ってっちゃうわよ」

P「いただきます」




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:37:45.78 ID:7yDTSuO60
伊織「雪歩みたいに上手にいれられないけど……」

P「……」ズズー

伊織「私、あんまりこういうの上手くないから……」

P「……」

伊織「ちょっと……何か言ってよ……」

P「美味い……」

伊織「ちょ、ちょっと、泣かないでよ!」


薫「伊織ちゃんやったぁ!」

律子「伊織……」




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:39:37.49 ID:7yDTSuO60
律子「だいぶ、元気になりましたね。伊織」

P「ああ」

律子「……大丈夫なんですか?その……旦那さんの方……」

P「……」

社長「言ってあげなさい。律子君も心配だろう」

P「社長……。そうですね……」

P「旦那さん、もう、結構長いこと家には帰ってないらしい」

P「半別居状態……って感じのようだ」




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:40:31.47 ID:7yDTSuO60
律子「そうですか……」

律子「……旦那さん、暴力振るってるんですよね?」

P「……」

律子「私、許せません、そういうの」

社長「……ああ、そうだね」




44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:41:50.02 ID:7yDTSuO60
―数日後―

P「おはよー」

伊織「……おはよう」

P「!伊織、どうした!?」

伊織「べ、別に何でも……」

P「伊織……またなのか……」




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:43:03.47 ID:7yDTSuO60
伊織「その……久しぶりに帰って来たら……」

伊織「凄く酔ってて……」

伊織「働き始めたのもあんまりよく思ってないみたいで……」

伊織「酷く暴れて……」

伊織「でも……近頃生活費も入れてくれないし……」




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:44:23.65 ID:7yDTSuO60
伊織「う……」

伊織「……あ、あれ?私……」

伊織「私……どうしたら……どうしたらいいのかしら……」

P「伊織……」

伊織「……助けて……」

P「ああ」

P(その後、しばらく伊織は泣き続けた)




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:45:46.21 ID:7yDTSuO60
社長「……伊織君、様子が……」

P「ええ……またのようですね……」

社長「そうか……働き出してから表情が明るくなったから喜んでいたが……」

P「ええ……」

社長「こんな時に何だが……」

P「どうしました?」

社長「伊織君に、オファーが来てる」




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:47:26.34 ID:7yDTSuO60
P「は……?」

社長「まだ内々の話だがね。この前、伊織君、テレビ局に行っただろう?」

P「ええ」

社長「そこで、お偉いさんが見初めたらしい。イメージピッタリだって」

P「イメージ?何かのCMですか?」

社長「ドラマだよ。国営放送の、大河ドラマだ。準メイン級の役柄だな」

P「はあ?」

社長「……」




51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:49:01.41 ID:7yDTSuO60
P「し、しかし伊織は……」

社長「私も、正直迷っている」

P「ええ……」

社長「……君に、任せてもいいだろうか?」

P「……はい!」

社長「まだ時間はある。ゆっくり進めたまえ」

P「……」




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:50:34.51 ID:7yDTSuO60
―高木家の墓 前―

P「順一郎会長……、お久しぶりです」

P「……」

P「俺、どうすればいいですかね……?」

P「いえ、答えはもう決まってるんです。ただ、勇気が出ないだけなんです」

P「今から俺がやることを見たら、多分会長は怒るでしょうね」

P「まっすぐ育たなくて、すいません、会長」




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:52:36.84 ID:7yDTSuO60
―某喫茶店―


悪徳「どうも」

P「いやー、どうもこんにちは」

悪徳「どうしたんですか?今日は?」

P「ちょっと、面白い話がありまして」

悪徳「……と、言いますと?」

P「コレです」

悪徳「へえ……なるほど……あの坊ちゃんがね……」

悪徳「家庭内暴力に……別居、離婚疑惑ですか……」




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:54:01.87 ID:7yDTSuO60
悪徳「爽やかなキャラで売ってますからね。こりゃいいネタだ」

P「……でしょう?」

悪徳「しかし……」

悪徳「コイツ……あなたの所の……水瀬伊織、のダンナでしょ?」

悪徳「いいんですか?」




59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:55:04.56 ID:7yDTSuO60
P「私はあなたが何を言ってるのかよくわかりませんね」

P「ただ、あなたの記事が好きなだけですよ」

悪徳「へぇへぇ、まあボチボチやらせていただきますよ」

P「良い記事、期待してます」

悪徳(死んだような目をしやがって……)

悪徳「ま、期待しといてください。それじゃ、また」




60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:56:43.83 ID:7yDTSuO60
善澤「……」

P「おや、いらしてましたか」

P「どうぞどうぞ、お掛け下さい」

善澤「……あまり彼と関わらないほうが……」

P「私は彼の記事、結構好きですけどね」

善澤「そうかい……」

善澤「それで、今日はどうしたんですか?」

P「実は……」




61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:58:37.34 ID:7yDTSuO60
―事務所―

伊織「……いる?」

P「おーう、伊織、こっちこっち」

伊織「その……、昨日は……」

P「……まあ、何も気にするな」

伊織「話って?」

P「ああ、伊織、仕事する気はないか?」

伊織「仕事……って、今もしてるじゃない?」




62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:00:32.24 ID:7yDTSuO60
P「そっちじゃないんだ」

伊織「そっちじゃないって……まさか……」

P「ドラマの仕事が来てる。結構大きい役だ」

伊織「……え……」

伊織「む、無理よ!私、3年も芸能活動してないのよ?」

P「俺が全面的にサポートする」

伊織「え……?」

P「もう一度、お前のプロデューサーとして働かせてくれ。頼む」

伊織「……」

伊織「少し、考えさせて……」




63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:03:26.99 ID:7yDTSuO60
律子「どうでした?」

P「うーん、難しいな……」

律子「そうですか……」

薫「伊織ちゃん、ドラマでるのー?」

P「うん、伊織がその気になればね」

薫「へー、いいなあ……」

P「あ、薫ちゃんは別口で仕事が来てるから」

薫「本当!?」




64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:05:26.65 ID:7yDTSuO60
スタッフ「あ、プロデューサーさん、ケータイ鳴ってましたよ」

P「やべっ」

薫「せんせぇ、ドジだなあ」

律子「本当ね……」




P「こんにちは。お久しぶりです」

??「君か。どうしたのかね?」

P「ええ、実は、伊織のことでお話が」

??「伊織の?」




66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:07:48.45 ID:7yDTSuO60
―次の日 事務所―

伊織「……いる?」

P「おーう、いるぞー」

伊織「昨日の話なんだけど……」

P「ああ」

伊織「……あんたが私に付くのよね?」

P「ああ」




67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:08:39.95 ID:7yDTSuO60
伊織「薫ちゃんは……どうするの?」

P「実は、同じドラマの仕事が来てる」

伊織「はあ?」

P「子役でな。無理やりねじ込んだ、とも言うが」

伊織「……」ハァ…

P「あ、呆れ顔」

伊織「やるわ。しっかりサポートしなさいよ」

P「ああ、任せてくれ」

伊織「でも、何で私に……」




68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:10:05.66 ID:7yDTSuO60
P「国営放送のお偉いさんと会った?」

伊織「ああ、何か○×テレビに来てたわね?」

P「その人が推したらしい」

伊織「そう」

P「あと、最近低視聴率に悩む大河の起死回生の一手ってところかな?」

P「元Sランクアイドルが大役で復帰!みたいな」

伊織「は……?」

P「え?いや、元Sランクアイドルが……」

伊織「その前!」




69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:12:29.79 ID:7yDTSuO60
P「ああ、言ってなかったっけ。仕事、大河ドラマ」

伊織「……大役?」

P「主人公の妻。ああ、主人公は宇喜多秀家って言って」

伊織「頭痛くなってきたわ……」

P「大丈夫か?」

伊織「あんた、昔っからそうよね!大事なことは後回しにするんだから!」

P「すまん」




70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:14:15.96 ID:7yDTSuO60
P「あと、もう一つ話がある」

伊織「何よ?」

P「別れてくれ」

伊織「……」

P「旦那さんと別れてくれ」

伊織「それは……プロデューサーとして言ってるの?」

P「どう取ってもらっても構わない」

P「頼む、この通りだ!」

伊織「……このバカ……」




71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:17:04.58 ID:7yDTSuO60
社長「どうだった?」

P「ドラマは、受けてくれました」

社長「そうか。やはり君に任せて正解だったな」

P「それはどうも」

社長「それで……?」

P「離婚の方は、何とも……」

社長「……青痣がある状態で、ドラマには出せん」

社長「それに……長丁場になる。メンタルのサポートもしっかりしないと、

  最後まで持たないだろう」

P「ええ……」




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:19:18.63 ID:7yDTSuO60
―次の日―

伊織「……いる?」

P「いるよ」

伊織「……ここで事務の仕事するようになって、楽しかった」

P「そうか」

伊織「私、誰かに必要とされるのって、凄く久しぶり……だったから」

伊織「あの人と結婚して……ずっと怒鳴られてたから……」

伊織「……そんなことも、忘れてたわ……」

P「……」




73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:20:56.36 ID:7yDTSuO60
伊織「別れるわ、あの人と」

P「よく言ってくれた」

伊織「でも……私、どうすればいいのか……」

伊織「暴力だって……私が駄目な妻だったから……」

P「伊織、伊織は何も悪くないよ」

P「辛かったら、逃げたっていいんだ」

伊織「……」




74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:22:40.85 ID:7yDTSuO60
P「これを渡しておくよ」

伊織「これ……、何の鍵?」

P「765プロアイドル用、マンションの部屋の鍵」

P「マスコミをシャットアウトするためにすげー複雑な名義になってる」

P「自由に使ってくれ」

P「あとそうだな、弁護士事務所に行くか」




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:23:54.91 ID:7yDTSuO60
―数日後―

律子「プロデューサー!これ、スポーツ新聞、見てください!」

『イケメン俳優○○、妻と別居!!離婚秒読み!!暴力も!!』

P「へえ……」

律子「これ、伊織の旦那さんのことですよね?」

『毎晩のクラブ通い!浮気!何日も自宅には戻らず……』

P「そのようだね」

P(きちんと裏取ったな……流石……)




76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:25:25.66 ID:7yDTSuO60
社長「ほう……善澤、どこから嗅ぎつけたのか……」

『水瀬伊織、大河で芸能活動復帰確実!』


prrrrrrrr

P「はい、俺です」

弁護士「どうも」

P「首尾はいかがですか?」

弁護士「守秘義務があるので、詳しいことは申し上げられませんが」

弁護士「今朝の記事、かなり堪えたようですね」

弁護士「大人しく話を聞いてました」

P「なるほど。またよろしくお願いします」

弁護士「ええ」




78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:26:38.52 ID:7yDTSuO60
P「仕上げにかかるか」


―数日後 某クラブ―


旦那「クソッ!!」

冬馬「おいおい、飲み過ぎだぜ」

旦那「どいつもこいつも!俺の気も知らないで!!」

冬馬「荒れるなよ」

旦那「おい、もうウイスキーロックでもう一杯!!」




80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:30:53.61 ID:7yDTSuO60
冬馬「ん……?」

旦那「どうしました?」

冬馬「あれ……765プロのプロデューサーじゃねえか?」

旦那「765プロぉ!!?クソが!!」

冬馬「お、おい!」




82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:34:11.16 ID:7yDTSuO60
旦那「テメエか!765プロのプロデューサーってのは!!」

P「ええ、そのとおりです。おや……あなたは伊織さんの……」

P「どうもこんばんは。こんな所で奇遇ですね」

旦那「テメエ!!馬鹿にしてんのか!!お前が伊織に変なこと吹き込みやがったんだろ!!」

P「変なこと……?」

P「ああ、離婚のことでしたら、私は別に」

P「記事、読みましたよ。随分派手におやりになってるようで」

P「まあ、あれでは離婚になっても仕方ないですね」




83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:36:29.31 ID:7yDTSuO60
旦那「この野郎……!!」

P「そういえば、私と伊織さんの仲を疑って、随分興信所使ったようですね?」

P「何も出てこなかったでしょう?当たり前です」

P「離婚されるのは、100%あなたの責任ですよ」

P「伊織さんは大きな役で芸能界復帰します」

P「あなたに縛られるのもここまででしょうね」

冬馬「お、おい、止めとけよ……」




84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:37:38.58 ID:7yDTSuO60
旦那「ぶっ○してやる!!」

ドカッ

P「ぐあっ!!」

冬馬「何やってんだコラ!!」

旦那「はぁはぁ……コイツが悪いんだ……」


パシャッ パシャッ




85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:39:23.00 ID:7yDTSuO60
冬馬「やべえ、記者だ……」

旦那「そんな……」

P「いてて……」

冬馬「お、おい、無事か?」

P「ええ、何とか」

冬馬「お前、終わりだな……」

旦那「……」




88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:41:27.58 ID:7yDTSuO60
悪徳「あれ?Pさんじゃないですか?」

P「おや、これは悪徳さん。いやはや、恥ずかしい所を……」

悪徳「いや、私も、新しいネタのために結構張ってましたからね」

悪徳「まさか、渦中の人の暴力の瞬間を撮れるとは思っていませんでしたが」

旦那「この野郎!!カメラよこせよ!!」

冬馬「いい加減にしねえか!!お前本当に終わるぞ!!」

旦那「くっ……」




89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:42:20.56 ID:7yDTSuO60
P「私が被害届を出せば、あなたどうなるんでしょうね?」

旦那「……」

P「でも、幸い、この記者さんは、私の知り合いだ」

P「この記者さんと、私と、そこの彼が黙っていれば、この暴力は無かったことになる」

P「あなたの態度次第では、無かったことにしてあげてもいいですよ?」

旦那「金か……?」

P「何言ってるんですか?私は、ウチの大事な商品である伊織さんと

 あなたに離婚して頂きたいだけですよ?」

P「お願いします、離婚してあげてください」

冬馬「お、おい、アンタ土下座しなくても……」




90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:43:25.10 ID:7yDTSuO60
旦那「この野郎……」

水瀬父「これは何の騒ぎかね?」

旦那「お、お義父さん……」

水瀬父「……この惨状を見るに、どうも記事は本当らしいね」

旦那「ち、違っ……」

水瀬父「黙れ!!この愚か者が!!」

旦那「ひっ……」

冬馬「あ、逃げた……」




92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:45:03.45 ID:7yDTSuO60
水瀬父「では、私も失礼するよ」

P「どうも、本日はこんな所までお越しいただきまして」

水瀬父「あの男は私の前では大人しくしていたからね。

  君の話を聞かなければ分からなかったことだろう」

P「……」

水瀬父「しかし……君は本当にP君か?」

P「と、言いますと?」

水瀬父「……その死んだような目。以前の君とは別人のようだ」

P「……」

水瀬父「まあ、ともかく君には感謝しているよ。では、失礼」




94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:45:51.50 ID:7yDTSuO60
冬馬「しかしヒヤヒヤしたぜ……」

悪徳「本当ですよ。いくら私でも目の前で人が刺殺されるのは御免ですよ?」

P「ははは……ナイスな登場でした。あいてて……」

悪徳「まさか我々がグルだとは思わんだろう」

冬馬「あの馬鹿が刃物出さなくて良かったな」

P「……多分、彼はそんな度胸無いんじゃないかと思ってね」

悪徳「?」




95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:47:22.75 ID:7yDTSuO60
P「彼は、俺に似てるからね。内面が。顔はあっちの圧勝だけど」

P「水瀬伊織の煌きに耐えきれなかった、似たもの同士だよ」

冬馬「……あのさ」

冬馬「昔からお前らを見てる方から見た感想だけど」

冬馬「お前と奴は違うよ」

P「ははは、そりゃどうも」

冬馬「つっても、超が付く鈍感のお前には分からないだろうけどな」

P「……?」

冬馬「やっぱ分かんねぇか」




96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:49:07.78 ID:7yDTSuO60
―次の日―

伊織「ど、どうしたのその顔……?」

P「いやー、こけちゃって」

伊織「嘘……」

伊織「あの人が、素直に離婚に応じるって言ってきたわ」

伊織「あんたね?」

P「……」

伊織「答えなさい」




97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:50:25.48 ID:7yDTSuO60
P「はい……」

伊織「私、あんたが殴られてまで助けてほしくない」

P「はい……」

伊織「もっと自分を大事にしなさい」

P「はい……ははは……」

伊織「何がオカシイのよ?」

P「いつもと立場が逆だな、と思ってさ」

伊織「……バカ……」




99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:51:46.22 ID:7yDTSuO60
律子「プロデューサー……」

社長「それで、どうだって?」

P「何とか、片付きそうです」

律子「ふー……」

社長「……ご苦労さん」

P「ええ……」

社長「しかし、大変なのはここからだよ。3年ブランクがあっていきなり大役だからね」

律子「そういえば、本が大量に届いてましたよ?」




100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:53:29.39 ID:7yDTSuO60
伊織「そ、その資料何……?」

P「何って……、今度の大河に関係しそうな資料だけど?」

伊織「凄い量ね……」

P「大丈夫、読むのは俺だから」




101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:55:00.87 ID:7yDTSuO60
薫「せんせぇ、お勉強?」

P「そうだよ」

薫「ふーん?ねぇ、大人になるとお勉強楽しくなる?」

P「さあ、あんまり楽しくないと思うけど。どうして?」

薫「せんせぇ、今とっても楽しそうだから」

薫「それに、すごくやさしい顔してるよ」

P「……そう……か」

P「うん、今は凄く楽しいよ」




102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:56:28.44 ID:7yDTSuO60
―深夜―

prrrrrrrr

P「こんな時間に電話か……」

P「はい、俺です」

伊織「あ、その……ごめんなさい。こんな夜中に」

P「いや、大丈夫だ。どうしたんだ?伊織」

伊織「その……どうしても眠れなくて……不安で……」

P「……そうか。じゃあちょっと話そうか」

伊織「うん……」




103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:58:36.95 ID:7yDTSuO60
―次の夜―

prrrrrrrr

伊織「は、はい……」

P「伊織か?俺だ」

伊織「うん……どうしたの?」

P「用は特にない」

伊織「は?」

P「伊織の声が聞きたくなった」

伊織「そう……」

P「台本の合わせでもするか?」




104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:00:44.89 ID:0JPiteWk0
伊織「ええ、いいわよ」

P「そうか」

伊織「あ、あの、プロデューサー」

P「どうした?」

伊織「ありがとう……」




106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:01:59.22 ID:0JPiteWk0
―8月 クランクイン前日―

伊織「……」

P「いよいよだな……」

伊織「そうね……」

P「緊張してきた……」

伊織「あんたが緊張してどうすんのよ」

P「そんなこと言ったって……」

伊織「一緒に準備してきたじゃない。もうここまで来れば、あとはやってみるだけよ」




108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:03:50.88 ID:0JPiteWk0
P「……」

伊織「……何よ?」

P「何というか、アイドルの伊織をプロデュースしてた時のことを思い出した」

P「調子が戻ってきたな」

伊織「そうかしら?」

P「ああ、そんな伊織にプレゼント」

P「今年の誕生日はゴタゴタしてたし」




109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:04:52.25 ID:0JPiteWk0
伊織「べ、別にそんな、プレゼントなんてしてくれなくても……」

伊織「な、何かしら?」

伊織「……!!これ……」

P「うさちゃん、修理して綺麗にしてもらったんだ」

P「お帰り、伊織」


薫「せんせぇ、やったぁ!!」

律子「ふー、いつ渡すのかドキドキしたわ……」

社長「手に汗握るね!」




112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:08:20.50 ID:0JPiteWk0
―クランクイン当日―

薫「せんせぇ、似合う?」

P「ああ、とっても似合うよ」

薫「本当?えへへ……」

伊織「薫ちゃんかわいいわ!子役の皆は今日着物なのね」

P「伊織は出番ちょっと後だからな」




114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:09:52.35 ID:0JPiteWk0
???「伊織ちゃ~ん」

???「伊織ちゃーん!!」

伊織「……!!その声……あずさ……やよい……」

あずさ「私達も出るのよ~」

やよい「伊織ちゃん!いいドラマにしようね!!」

伊織「え?でも、そんな話聞いてない……」




115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:10:27.87 ID:0JPiteWk0
P「ドッキリ大成功!いやー、隠すの苦労した」

あずさ「趣味が悪いですよ、プロデューサーさん」

やよい「わ、私はやめようって、言ったんだけど」

伊織「プロデューサー?!」

P「わっ……、ほら、インタビュー始まるぞ」




117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:11:21.32 ID:0JPiteWk0
記者「3年のブランクについてはどのようにお考えでしょうか?」

伊織「そうですね……いろいろな所で、感覚のずれを実感することはあります」

伊織「でも、この3年間、私はいろいろな経験をして、いろいろな事を

  乗り越えてきました。豪姫の役は、今の私だからこそ出来る役だと思います」

伊織「それに、私は周囲の人に恵まれてますから……」

伊織「ねっ!」

やよい「わわっ、いきなり振らないで伊織ちゃん」

あずさ「うふふ……」




121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:12:43.38 ID:0JPiteWk0
―撮影半ば―

伊織「うーん……」

P「どうした?」

伊織「秀家が八丈島に流された後、金沢に移った後のシーン……」

伊織「演出がひたすら暗いのよね」

P「うん」

伊織「でも、金沢よ金沢。見るところいっぱいあるじゃない?」

伊織「生活を楽しむところを半分くらい見せたほうがいいと思うの」

伊織「辛いことがあっても、辛いだけじゃやっていけないわよ……」

伊織「ちょっと、監督と話してくるわ」

P「そ、そう……。あんまり喧嘩するなよー……」




122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:14:46.39 ID:0JPiteWk0
―撮影終盤―

薫「伊織ちゃーん!!」

伊織「あれ?薫ちゃん……どうしたの?」

薫「なんかねー、もう一回出てもいいよって」

やよい「豪姫の娘さんの役だよ!」

あずさ「好評だったから、急遽出番が決まったんですって」

P「ウチのアイドルはかわいいからな……」




123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:16:31.68 ID:0JPiteWk0
伊織「クランクアップ、間近ね……」

P「ああ、伊織のどこか飄々とした豪姫はかなり好評だったな」

P「ラストシーンが秀家じゃなくて豪姫の楽しげな最期に変更されるくらいに」

伊織「あっという間だった気がするわ……」

伊織「夢中だったし……」

P「伊織、すっかりアイドル時代に戻ったな」

P「いや、それ以上か?」




124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:17:28.30 ID:0JPiteWk0
伊織「あら、それはあんたもじゃない?」

P「へ?」

伊織「久々に会った時、あんた目が死んでたわよ?」

伊織「最近、昔みたいな感じに戻ってきたわ」

P「そ、そうか……?」

伊織「そんなに伊織ちゃんに会えたのが嬉しかったのね?」

P「……ああ」

伊織「ちょ、この年で伊織ちゃんは恥ずかしいでしょ?ツッコミなさいよ!」

P「伊織にまた会えて嬉しかったよ」

伊織「……な、何言ってるのよ……」




125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:18:48.42 ID:0JPiteWk0
―クランクアップ―

伊織『……』

伊織『眠たくなってきたわ……』

伊織『神様の御許へ……また会えるわね……あなた……』

伊織『……』

監督「カーット!!」




127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:20:09.27 ID:0JPiteWk0
P「伊織、お疲れ様」

伊織「ありがと」

薫「伊織ちゃん、お疲れ様ー!」

やよい「伊織ちゃん、私、感動しちゃったよ……」

あずさ「すごくいいラストだったわ~」

監督「お疲れ様」

伊織「あ、監督……」

監督「いやー、もう喧嘩できないかと思うとさみしいね」

伊織「その節は、どうもご迷惑を……」

監督「いいのいいの。また呼ぶから、よろしくね」

伊織「はいっ」




129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:21:57.04 ID:0JPiteWk0
―事務所―

P「何とか、上手く行ったな……」

伊織「ええ……」

伊織「こんなにぐったりしたのは解散ライブ以来よ……」

P「ははっ……あの時も大変だったな」

伊織「あんた、あの頃から何にも言わずに決めるんだもの」

伊織「あの日、あんたに出会ってなかったら、私、どうなってたのかしら?」

P「薫ちゃんと一緒に事務所前でばったり会った日?」




130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:23:09.30 ID:0JPiteWk0
伊織「あんたと初めて会った日よ」

伊織「こんなバカっぽい奴をプロデューサーにするなんて、社長オカシイんじゃないかしら

  って、思ったわ」

P「……」

伊織「その後すぐ分かったわ。私にはこの人しかいないって」

伊織「初めて会ってから10年よ、10年!」

伊織「あんたのこと、ずーっと好きだった……」




132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:24:15.04 ID:0JPiteWk0
P「……」

P「俺は、初めて会った時、このクソ生意気なガキを押し付けるなんて、

 社長おかしいんじゃないかと思ったよ」

伊織「な、なんですって」

P「その後すぐ分かったよ。この子はトップに立つ器だって」

P「だから、俺みたいな奴が可能性を縛っちゃいけない、そう思ったんだ」

伊織「……」




133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:26:12.76 ID:0JPiteWk0
P「ずっと好きだったよ」

伊織「私、あんたと一緒じゃないと輝けないわ」

P「俺は、お前を輝かせるために生きてる」

伊織「……」

P「……」

伊織「ずいぶん、回りくどいプロポーズね」

P「そ、そうか?それでは」

P「俺と結婚を前提に付き合ってください!」

伊織「ま、考えてあげなくもないわよ。にひひ!」

伊織「……今度こそ、幸せにしてよね」




134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:27:36.67 ID:0JPiteWk0
薫「すごーい……大人の会話だぁ……」

律子(大人……?)

社長「うんうん……」

やよい「伊織ちゃん……良かったね……」

あずさ「あ、春香ちゃん?えーっと、今ね……」


終わり




135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:27:39.60 ID:mEAdrMrkO
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい
涙腺やばい




136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:28:08.28 ID:8mXh+CJc0
いいねぇ。こういうの



138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:28:37.81 ID:PIJeBZF10

いい話だった




139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:28:41.25 ID:mEAdrMrkO

めちゃめちゃ良かった




142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:33:24.95 ID:0JPiteWk0
ちなみに、DVに関しては
・あなたは悪くない。殴る奴が悪い
・人格を否定する、大切なものを捨てるなども暴力です
 もちろん女→男のDVもありえます
・近頃は、警察、行政、弁護士会、NPOなどが相談窓口を設けてます
 必ず話を聞いてくれるところはあります




143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:34:29.25 ID:0JPiteWk0
読んで下さった皆さん、ありがとうございました




引用元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353847730/