1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:35:25.27 ID:+MO6Iwsd0
 
律子「へえ、桜井さんに? はい、コーヒー」

涼「うん。ありがとう」

律子「じゃあ、早速スキャンダル対策を練らないとね。あちらの事務所にも連絡しないと。
連携すれば、よほどの事じゃない限りは……」

涼「ちょ、ちょっと待ってよ」

律子「なに? 照れなくていいのよ。ってなんだか、そんなに嬉しそうじゃないわね。まさか……」

涼「うん、つきあうことにはなってない」

律子「そうなの?」

涼「うん」

律子「……えぇー?」




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:36:54.26 ID:+MO6Iwsd0
なお、夢子ちゃんは出ません。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:40:43.58 ID:+MO6Iwsd0
涼「なんだよ、その反応」

律子「だって、ねえ」

涼「女の子に告白された事は素直に嬉しいよ。なにしろ、これまで告白されるのは同性からばっかりだったからね。
でもさ……」

律子「なにが不満なのよ」

涼「不満っていうんじゃないんだよ。なんていうか、困ったなあ、って」

律子「なにが? 桜井さんっていい子じゃない。あずささんもお気に入りだし」

涼「うん、夢子ちゃんはいい子だよ。ちょっと暴走するところあるけど、最近はそれも落ち着いてるし。
そうじゃなくて……」

律子「なによ」

涼「えっとね、だから……」

律子「なんでそこで口ごもるわけ?」

涼「いや、だからさ……」




4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:44:55.82 ID:+MO6Iwsd0
律子「うん? あ……もしかして、あんた、他に好きな子でもいるの?」

涼「……うん。そう、なるかな」

律子「ええっ。本当に? あれだけ桜井さんといい雰囲気作っておいて?」

涼「なんだよ、それ。別にそんなつもりはないよ。そりゃ、夢子ちゃんはいい友達だけど……」

律子「……桜井さんも可愛そうに……」

涼「な、なに、その非難するような視線!?」

律子「非難してるもの。あんたねえ、女の子をその気にさせておいて、本当は他の子が好きですって性質悪いわよ」

涼「だ、だから、そういうつもりはないって、最初から!」

律子「あんたはそうでも、相手はそうは思わないのよ。周りもね」

涼「そうなの?」

律子「ええ。あんたと桜井さんがつきあってるって思ってる人はそれなりにいると思うわよ。
そうねえ、たとえば……伊織とか、春香とか」




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:47:14.14 ID:+MO6Iwsd0
涼「うわぁ……」

律子「いま、頭抱えてもしょうがないでしょ。ともかく、周囲の目はそう見てたってこと」

涼「そうなんだね。全然わからなかったよ……」

律子「桜井さんのほうは告白してきたわけだから、恋愛感情があったとして……。
あんたは本当にそんなつもりなかったわけ?」

涼「うん。夢子ちゃんは本当に大事な友達だけど、それは、たとえば絵理ちゃんとかと同じで……」

律子「それなら、もう少し距離を考えるべきだったかもしれないわね。それこそ女装をやめた時にでも」

涼「うう、反省します……」

律子「反省と言うよりは、自覚ね。あんたは男性Aランクアイドル。
それだけ世間に受けるって事は、異性にもてる素養があるってことなんだって自覚なさい」




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:49:29.13 ID:+MO6Iwsd0
涼「僕なんかが、って思っちゃうんだよね。まあ、そのあたりは、律子姉ちゃんと似てるのかもしれないけど……」

律子「ど、どこがよ」

涼「自分に魅力がそれほどないと思い込んでるところ」

律子「わ、私は、だって……」

涼「そんなスタイルなのに、インタビューで自分のこと寸胴とか言っちゃって、女性の反感を買ったことあったよね。前に」

律子「う……。か、関係ないでしょ、いまは!」

涼「まあ、そうだけど……」




8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:52:53.08 ID:+MO6Iwsd0
律子「で、話戻すけど、そういうことなら、ちゃんと断ったの?」

涼「あー、いや、まずは考えさせてくれって……」

律子「だめよ、そんなの」

涼「だめかな?」

律子「ええ。だって、あんた、本当に考えるわけ? 他に好きな子がいるってことは、もう結論出てるんじゃないの?」

涼「それは……」

律子「それとも、好きな子を諦めて、彼女をとる?」

涼「いや……それは出来ないよ!」

律子「わ、私相手に大声で宣言してもしょうがないのよ」

涼「あ、ごめん」




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:56:36.25 ID:+MO6Iwsd0
律子「まあ、いいけど……。私ね、前々から思ってたのよ。
告白の時、『考えさせてくれ』って時間をおいて断るまでにクッションを入れるのってすっごく卑怯だって」

涼「卑怯……かな」

律子「ああ、あんただけを責めてるわけじゃないわよ。どうせあんたはどう答えていいかわからなかった、とかでしょうから」

涼「う。さすが律子姉ちゃん……」

律子「でも、意図的に言うのは卑怯だと思うわ。それは、真剣に考えるときに使うべき言葉よ。そう思わない?」

涼「……」

律子「私なら、本当に考える時だけに言う。可能性がある時だけに伝えるわ。自分の感情を見つめ直す時だけにね」

涼「……姉ちゃん」

律子「無理な時は無理って言ってくれたほうが、告白する方だって宙ぶらりんなまま置いてかれずに済むもの」

涼「そっか。そういうものかな」

律子「私は、そう思うわ。希望があるのならともかく、ね」




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:57:20.49 ID:+MO6Iwsd0
涼「うん。わかった。ごめん、律子姉ちゃん。僕、いまから夢子ちゃんに会ってくる」

律子「いまから?」

涼「うん。善は急げっていうし。それこそ、ずるずる引き延ばしちゃ、夢子ちゃんに失礼だと思って」

律子「うん、じゃあ、いってらっしゃい」

涼「行ってきます」

律子「気をつけていくのよ。……って、もういない」


律子「まったく、涼ったら」

律子「男の子の顔しちゃって」




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 22:57:38.05 ID:2naluMVy0
りょうりつとか俺得すぎる



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:00:08.34 ID:+MO6Iwsd0
――翌日

律子「それで、片付いたの? 桜井さんのこと」

涼「ああ、うん。散々泣かれて、特製ジャンボパフェ奢って、それで……うん。あ、紅茶あるよ」

律子「あら、もらうわ。ありがと。
……そうね。桜井さんにはかわいそうだけど、すっぱりけりをつけたのは、褒めてあげるわ」

涼「ありがとう。でも……なんていうか」

律子「なに?」

涼「夢子ちゃんとはこれまで通りにはいかないんだろうなあって」

律子「……ああ、まあ、そうね」

涼「こっちも意識しちゃうし、どうしてもね」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:04:30.40 ID:+MO6Iwsd0
律子「それでも、彼女は涼と恋人になりたかったのよ。いろんなことを覚悟して、そうして告白した。
あなたが受け入れられなかったとしても、そこは認めてあげるべきよ」

涼「うん。すごいと思ってる」

律子「告白せずにいれば、近しい場所にい続けられる。でも、それじゃあ、我慢出来なくなる。そういうものよ」

涼「律子姉ちゃんも経験あるの?」

律子「な、なに言い出すのよ」

涼「いや、なんか、実感籠もってたし……」

律子「……」

涼「……」

律子「……聞きたい?」

涼「あ、いや、でも……。う、えっと……うん」

律子「じゃあ、話してあげる」

涼「う、うん」




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:09:59.49 ID:+MO6Iwsd0
律子「あんたがデビューするより前から、私がアイドルやってたのはもちろん知ってるわよね?」

涼「うん。そりゃあ、日本中の人が知ってるよ」

律子「まあ、千早と組んでAランクにまで上がったからね。
それはともかく、涼も芸能人なんだし、私たち二人を導いてくれたプロデューサーのことも、知ってるわよね」

涼「うん、一度会ったことあるよ。いま、千早さんと一緒にアメリカにいるんだよね」

律子「そうね」

涼「……」

律子「……」

涼「……って、え、まさか……」




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:14:25.88 ID:+MO6Iwsd0
律子「ええ。お察しの通り。かつて私はプロデューサーに恋をした。そうして、告白して……」

涼「そ、それで?」

律子「結果でわかるでしょ、彼は千早のほうをとった」

涼「……それって、千早さんも……?」

律子「外に漏らしちゃ駄目よ?」

涼「う、うん」

律子「ある意味で、千早の海外進出を後押ししたのは私かもしれないわね。
私が告白して、あの人と、千早と私という人間関係のバランスが崩れたから、それで……」

涼「海外進出するのが、律子姉ちゃんの前から姿を消すにもよかった、ってこと?」

律子「そういう側面もあるのかもしれない、ってこと」

涼「そうなんだ……。それだけのことを引き起こしちゃうんだ」

律子「まあ、私のはレアケースでしょうけれどね。でも、それだけの覚悟は……うん、していたわ」




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:19:32.00 ID:+MO6Iwsd0
涼「……」

律子「涼?」

涼「……プロデューサーさんは、ちゃんと振ってくれた?」

律子「ええ。そりゃもう完膚無きまでにね」

涼「……そっか」

律子「だから、この間久しぶりに会ったときは、不思議な気持ちだったわ。
ああ、私、昔、この人に恋してたんだなあって、懐かしい感じだった」

涼「じゃあ、いまは……?」




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:23:50.93 ID:+MO6Iwsd0
律子「あはは。いまはそんな暇ないわよ。
アイドル引退して、事務所起ち上げて、あんたと二人で頑張ってるんだから。
男の影なんてどこにあるのよ」

涼「それは……そうだね」

律子「あー。なんか変なこと話してたら、喉渇いたわ。涼、紅茶もう一杯お願いできる?」

涼「うん、わかったよ、律子姉ちゃん」

律子「ありがと」

涼「……あのさ、律子姉ちゃん」

律子「うん?」

涼「いや、なんでもない。ごめん、お茶淹れてくるね」

律子「んん? 変な涼」




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:29:06.80 ID:+MO6Iwsd0
――数日後

涼「律子姉ちゃん」

律子「うん?」

涼「僕に好きな人がいるって話、したよね。夢子ちゃんに告白された関係で」

律子「ええ、聞いたわ。それが?」

涼「その人に、告白しようと思ってる」

律子「……そう。決めたのね」

涼「うん、決めたんだ」

律子「そう、偉いわ」

涼「……ありがとう」




29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:32:38.20 ID:+MO6Iwsd0
律子「結果は教えてね。桜井さんの時にも言ったと思うけど、スキャンダル対策だけはしないとならないの。
放っておいてあげたいところだけど、こればっかりは、ね」

涼「それなんだけどさ」

律子「うん」

涼「僕から結果は教えられないんだ」

律子「え? それは困るわよ。
さっきも言ったとおり、仕事の関係もあるし、あなたと相手の人を守るためでもあるのよ」

涼「うん、それは重々わかってるんだけど」

律子「だったら」

涼「その相手のことだけは、僕からは教えられないんだ」

律子「いや、だから……」




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:37:31.78 ID:+MO6Iwsd0
涼「だって、律子姉ちゃん本人のことだから」

律子「……」

涼「……」

律子「……は?」

涼「秋月律子さん。好きです。ずっとずっと、好きでした。僕の恋人になって下さい」

律子「はあぁぁぁぁあ?」




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:43:31.96 ID:+MO6Iwsd0
涼「……お、落ち着いた?」

律子「うん。ごめん。取り乱した」

涼「それで、その……」

律子「確認するけど」

涼「う、うん」

律子「あんたは、従姉であって、仕事上では雇い主の、このかわいくもない私が好き、それでいいわけ?」

涼「うん。かわいくないってのは間違ってるけどね」

律子「いいのよ、そんなところ訂正しなくてっ」

涼「落ち着いて、律子姉ちゃん」

律子「あんたが興奮させてるのよ!」




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:48:05.14 ID:+MO6Iwsd0
涼「まあ、そうだけど……」

律子「はあ……。参ったわね……」

涼「だめ、かな……?」

律子「……」

涼「たしかに僕は従弟で、律子姉ちゃんは僕の頼りない所ばかり知ってると思うけど、でも……」

律子「顔をあげなさい」

涼「え?」

律子「人を好きと言うのに、そんな卑屈になることはないわ。胸を張って顔をあげなさい」

涼「う、うん」




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21(水) 23:50:39.58 ID:+MO6Iwsd0
律子「うーん」

涼「律子姉ちゃん……」

律子「考えさせてちょうだい」

涼「え? 律子姉ちゃん、それって……」

律子「……あー、もうっ。考えさせてって言ってるでしょ!」

涼「うん。……うんっ!」



                              おしまい





引用元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353504925/l50